安全管理指針<院内感染防止対策委員会>
2018年10月1日改訂
Ⅰ. 院内感染対策委員会
Ⅱ.一般的な施設での院内感染防止の考え方
院内感染防止とは、医療機関という集団生活を営む特殊な環境状況において発生する感染症に対する予防事業である。 治療は、感染源を少なくする意味で伝播阻止に役立つが、あくまでも予防に重点をおくことが重要である。 不適当な予防事業から生じる院内感染は、患者に不必要な苦しみと医療費の支出を強いるともに、病院にも過大な負担を及ぼすことに留意すべきである。
院内感染発見のためには、確実な報告システムの確立とその機能強化すなわちサーベイランス網の確立が必要となる。 このサーベイランスの報告システムの確立、院内感染が発生した場合の報告義務化、積極的な起因微生物及び感染ル-トの検索及び報告された感染症についての必要な疫学調査及び起因微生物の分離、同定等が求められる。 ※当クリニックは、いわゆる感染症の治療を治療する施設ではなく、お産と不妊症患者を対象としている。 したがって、やや違った視点で院内感染対策を行う必要がある。 当クリニックの対象患者群は、生殖可能年齢層の健常者であり、高齢者や免疫抑制剤などを使用している易感染性患者がいないこと。進行形として感染症を発症している患者がいないことが特徴である。 また、予め感染症検査を徹底しているため、感染の機会となりうるお産や手術前に肝炎や性病など感染予防対策とれることにある。 また、発熱は当然のことながら体調不良のスタッフが直接患者と接触する機会をなくすことで、感染を成立しにくくしている。 さらにバストイレ付きの全室個室であることで、院内感染伝播の機会を最小限にできている。
Ⅲ.サ-ベイランス(監視制度)
サ-ベイランスは、疾病対策の基本であり、サ-ベイランスが充分に機能しなくては、疾病予防は効果的に行われない。 院内感染防止対策も同様である。 院内感染サ-ベイランスシステムを機能させるには、次の点に留意することが必要である。 入院患者を対象とする(外来患者は追跡、分析等の対象にするは流動的で、費用効果がすくない)、病棟婦長が当該病棟の院内感染の疑いのある患者報告の責任者となり、関係医師の判断で院内感染かどうかの確定を行う。もし確定できない場合は、院内感染委員会の決定に委ねる。 積極的に院内感染の疑いのある患者を発見するためには、一定の指標を立ててサ-ベイランスを行うことが望まれる。例えば原疾病によらない発熱(38℃以上)化膿巣の出現及び白血球数の異常の3点は、その指標として適当である。これらの指に基づきリストアップされた患者について、担当医が検査成績も合わせて院内感染か否かを判断し報告する。(婦長が院内感染の疑われる症例を毎週リストアップする)。これらの指標以外の症状で院内感染を疑い場合は、別途、報告に加える。例えば、MRSAについては抗生物質耐生にとる難治性の疾病、帯状砲疹の患者からの水痘の流行等についても、サ-ベイラインスの対象となる。検査で分離された起因微生物を参考にしてサ-ベイランスを行うことも有効である。分離菌の変化、耐生菌の出現等、検査室の日常業務を通じて院内感染発生を探知できることも多い。報告には、まとめの月報、年報が必要である。発生がない場合でも、”0”として報告することが重要である(無報告”0”報告とは、持つ意味に大きな違いがあることに留意する)なお、この報告をフィ-ドバックすることにより、サ-ベイランス実施者の関心を高め、ひいてはサ-ベインランスの質の向上につながる。
院内感染対策委員会
サ-ベイランス ↑ ↓ 月報.年報. ↑ ↓ ← ← 病 棟 検査室 → →
以上の報告表に用いる調査票の例を「付録1.サ-ベイランス調査表の見本」に示す。 院内感染対策委員会は、報告について疫学的分析を行う。すなわち、発生率、感染症の種類、起因微生物の種類及びその変化、感染原因、発生例の集積する病棟、症例の転帰、特殊発生例等を分析し、院内感染対策確立の基礎資料とする。