医療法人授幸会 久永婦人科クリニック
 
           
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カルシウム イオノフォア

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カルシウムイオノフォアを⽤いた卵⼦活性化 ICSI

体外受精を実施されている患者さんの中には顕微授精を⾏っても受精率の低いことがあります。この原因はいろいろと考えられますが、卵⼦の⽼化や精⼦の機能的な問題などがあります。受精率を向上させる⼀つの⼿段としてカルシウムイオノフォアを使⽤した顕微授精がありますのでご説明いたします。

卵⼦は排卵直後の段階ではまだ完全には成熟していませんが、精⼦と出会うことにより活性化され成熟を完了(第 2 減数分裂)させます。卵⼦は成熟してはじめて受精(卵⼦と精⼦の核の融合)が可能となります。通常、⾃然に受精が起こる段階では精⼦が卵⼦にたどり着くと精⼦因⼦が卵細胞内に流れ込み、それによって卵細胞内にカルシウムイオンの放出が起こり、⼀定時間カルシウムイオン濃度が上昇した状態が続きます。放出されたカルシウムイオンは卵⼦の中で波状に広がるのですがこの現象をカルシウムオシレーションと呼びます。カルシウムオシレーションにより卵⼦の活性化がおこるため、受精の際には細胞内のカルシウムイオン濃度の上昇が必須となります。

⼀⽅、顕微授精(ICSI)では⼈為的に精⼦が卵細胞内に注⼊される際に、同時に精⼦因⼦も卵⼦内に持ち込まれ卵⼦が活性化されて受精が起こるため、⼀般的には通常の体外受精(c-IVF)より受精率が約 10〜20%⾼いことが報告されています。ところがまれに精⼦因⼦の異常により卵⼦の活性化が起こらず、顕微授精をしても受精しないことがあります。こうした場合に、カルシウムイオノフォア(カルシウムイオンを細胞内に流⼊させる物質)を使⽤することで、細胞内のカルシウムイオン濃度を⼀時的に上昇させることができ、卵⼦活性化に有効な場合があります。通常の顕微授精では受精率が低い場合には試してみる価値のある⽅法と⾔えます。

ただし、卵⼦側に問題があって受精が起こらない場合や精⼦頭部の脱凝縮の異常など、カルシウムイオノフォアが有効でないこともあります。また通常の体外受精では精⼦が卵⼦に⼊り込むタイミングが特定できないため、カルシウムイオノフォアは使⽤できません。

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