医療法人授幸会 久永婦人科クリニック
 
           
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タイムラプス胚培養

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タイムラプス胚培養とは

タイムラプス当院では2018年より全ての受精卵をタイムラプスインキュベーターで培養しております。インキュベーターとは患者様の受精卵を育てる培養器のことで、内部は温度、二酸化炭素濃度、窒素濃度などが常に一定に整えられています。また培養器内に顕微鏡とカメラを備えているため、受精卵の発育の様子を培養器の外に出さずに付属のモニターで観察することができます。これは現在考え得る 「最も受精卵に優しい培養」と言えます。

 

このタイムプラスの動画は、当クリニックの患者様の実際の映像です。

今までのインキュベーターでは受精卵の発育の状態を観察するためには、一度インキュベーターの外に取り出して観察することが必要でした。受精卵にとって外気とふれあうことは光への暴露、温度変化、空気組成、pH変化などを受けるため成長に少なからず影響を及ぼす可能性がありました。そのため、受精卵に与えるストレスを最小限で済むように1日に1回だけ決まった時間に観察することになります。これを定点観察と呼ぶのですが、その他の時間帯に受精卵がどのように変化しているのかについては全く分かりませんでした。一方タイムラプスインキュベーターでは常時モニタリングすることが可能となるだけでなく、一定時間毎に自動的にカメラ撮影を行うため分割の様子をモニターで動画のように観察できます。実際にタイムラプスインキュベーターにより胚盤胞の発生率、胚盤胞の発生速度、形態良好な胚盤胞の率、妊娠率の全てにおいて向上が見られることが学会で報告されました。(Ueno et al., 2019 Reprod Bio)

タイムラプス解説イラスト

 

【タイムラプス培養でわかること】

  1. 前核の確認
    体外受精を行った翌日、卵子及び精子由来の前核が胚の中に並んでいることを確認して受精官僚となりますが、さらに数時間経過しますとこれらが融合してしまい、前核の確認ができないことがありました。タイムラプスの機能を活用することで、前核の確認を正確に行うことができます。

  2. 前核確認から分割までの時間
    前述しましたように受精後前核が出来てからその後前核が消失して第一卵割が始まるのですが、分割までの時間が長いと異常な胚である可能性が高くなる ことが分かってきております。

  3. 分割パターンの確認
    また胚は成長のスピードだけでなく規則的な分割をしていることが重要 です。例えば1細胞期から2細胞期を経ずにいきなり3細胞期に分割してしまうことがありこの場合には受精卵の発育能力は低いと判断されます。また一度分割した細胞が再度融合して元に戻ることもあり、これも発育能力が低いと判断されます。

  4. 分割時の細胞の動き
    胚の分割が始まった後、細胞の動いている時間が長い受精卵は分割胚移植後の臨床成績が悪いとの報告もあります。(Ezoe et al.,2019 RBMO)

これらのことは以前の定点観察では全く分からなかった新しい知見と言えます。タイムラプス培養を行うことで今後も新しい知見が発表されることが期待でき、それに伴い妊娠率の向上に寄与するものと考えます。

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