医療法人授幸会 久永婦人科クリニック
 
           
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ビタミンD・亜鉛・銅

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■ビタミンD

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の女性はビタミンD不足が多く、補充により排卵率が改善されることや、胚の着床と胎盤形成を制御しており、不足すると着床しにくくなることや、ビタミンDには絨毛が発育し子宮内膜に浸潤するのを促進する作用があるため、欠乏により流産が起こりやすくなる といわれています。妊婦においてはビタミンD欠乏と妊娠高血圧や妊娠糖尿病の発症との間に相関関係があることが指摘されています。

また免疫学的寛容に関連するTh2細胞やヘルパーT細胞を調節する制御性T細胞を増やし、免疫拒絶に関連するTh1細胞を抑制し、妊娠に有利な免疫状態を誘導する ことが知られています。

一般不妊女性276名に対する検討では、ビタミンDの欠乏および不足群にビタミンDのサプリメントを1日・1,000単位・3ヶ月間補充を行うと、47.8%の症例でビタミンDが30ng/ml以上に充足し、そのほぼ全例でTh1 およびTh1/Th2細胞比の低下を認め、充足しなかった症例ではヘルパーT細胞の優位な変化を認めなかったとのことです。(第65回日本生殖医学会学術講演会・総会)

このようにビタミンDは多岐にわたり妊孕性との関係が注目されています。男性においてもビタミンD欠乏者に比して、適度なビタミンD濃度の場合には良好な精液所見が多い などの知見もあります。血液検査で貯蔵型ビタミンDである25OHビタミンDを調べ、30ng/mL未満の患者にはサプリメントの服用が有効 です。

ビタミンDを多く含む食品

 

■亜鉛・銅

亜鉛と銅がセットで論じられることが多い理由は、いずれも体内で作ることが出来ず食物から摂取する必要があるのですが、 小腸で吸収される際に互いに競合するため血液中に亜鉛が多くある環境では銅の吸収が抑制され、銅が多くある環境では亜鉛の吸収が抑制されます。 どちらも我々が生きていく上で必須の元素ではあるのですが、そのバランスが崩れると不妊の原因となります。 現代人の食事は銅の摂取が多く亜鉛が吸収されにくく、結果として銅過剰・亜鉛欠乏に陥る人が多い傾向が指摘されています。

銅は体内で骨・骨格筋・血液を中心に存在しています。赤血球中のヘモグロビンという色素は鉄を成分としており、銅はこのヘモグロビンを作るために鉄を必要な場所に運ぶ役割をしています。そのため鉄が十分にあっても銅が不足すれば赤血球が生成されず貧血になってしまいます。 銅の必要量は1日0.8mgで日常の食生活において欠乏することはほとんどありません。一方、 銅は過剰になると子宮内膜にも沈着し受精卵の着床障害の原因になります。実際に銅付加IUD(子宮内リング)はOC(低用量ピル)よりも避妊効果が高いと報告されています。 銅を多量に含む食品には貝、甲殻類、レバー、豆、穀類、ココアなどがあります。

亜鉛は味覚を正常に保ち、皮膚や粘膜の健康な状態を維持します。また亜鉛はセックスミネラルとも言われ 男性にとっては精子を作る機能を高め、女性では卵巣や子宮の働きを改善します。 亜鉛が欠乏しますと細胞分裂でのDNAの転写ミスが多発することが分かっています。 亜鉛の必要量は1日8mgで食事では牡蠣、牛肉、レバー類、ゴマ、藻類、サンマ、納豆、高野豆腐等に多く含まれます が、野菜にはほとんど含まれません。またアルコールの多飲やインスタント食品の摂取が原因で吸収が抑制されます。

亜鉛を多く含む食品

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