医療法人授幸会 久永婦人科クリニック
 
           
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PRPとPFC-FDについて

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日産婦のPGT-Aパイロット研究でEuploid胚でも30%は妊娠成立しないことが明らかになりました。そのためARTにおいて反復着床不全(RIF:良好胚を3回以上移植しても妊娠に至らない)症例に対する検査や治療方法が注目されています。
血液中の血小板にはPDGFTGF-β、FGF VEGFEGFなどの成長因子が含まれ、この成長因子には細胞増殖や血管新生を促進する働きがあります。

PRP(Platelet-Rich plasma:多血小板血症)とは基準以上の血小板をもつ自家血症のことで再生医療として近年注目されており、血小板から放出される成長因子を専用の医療機器を使用して効率的に濃縮・組成し標的部位へ注入することにより、本来自分が持っている細胞の再生能力を局所的に最大化する治療法です。(近年ではメジャーリーガーの大谷翔平選手が行ったことで有名です。)
一方、不妊治療においては子宮内膜環境の改善を促すことが明らかにされています。成長因子を多く含むPRP投与により子宮内膜における細胞増殖、血管新生を良好にし、着床率の改善、妊娠維持が期待できます。子宮内免疫環境の改善効果により慢性子宮内膜炎の治療としても有効性が報告されています。

使用分野

 

本治療法は再生医療安全確保法(再生医療などの安全性の確保などに関する法律)に基づき、再生医療等提供計画の届出後、厚生労働省に受理された治療となるため、認可申請手続きを行い、認可後は毎年報告を行う必要があり、その利用には制約もあります。
一方、PFC-FD(Platelet-derived Factor Concentrate Freeze Dry)療法とは血小板由来因子濃縮物凍結乾燥を用いた治療法で自己血よりまずPRPを作製したのち、細胞成分を取り除いて成長因子を濃縮し、凍結乾燥したものを用いる方法でPRPと同等の効果が期待できます。
PRP療法とPFC-FD療法の大きな違いはPRPをどこで作製するかです。PRP療法の場合は治療実施時に院内で作製しますが、PFC-FD療法の場合は事前に院内で採血を行い、外部の施設(セルソース株式会社採精医療センター:厚生労働省認可特定細胞加工物製造許可施設)でPRPを作製します。
セルソース株式会社にて血小板由来因子のみを抽出・濃縮・凍結乾燥(フリーズドライ化)し約3週間後クリニックに送られてきます。(有効期間6ヶ月)その後、凍結融解胚移植スケジュール中にPFC-FDを生理食塩水1mlで溶解し子宮内に注入(胚移植周期のおよそ10日目、12日目の2回)、その後融解胚移植を実施します。

どちらも患者様自身の血液を用いるため、アレルギー反応や副作用リスクが低く安心です。またPFC-FD療法はPRP療法よりも利便性が高く、かつ、同等の効果が期待できることから、今後の症例の蓄積、および治療成績の検討が期待されています。PFC-FDにはPRPと比べて約2倍の成長因子が含まれており、半年間の保管ができるためART治療に併用しやすいという利点もあります。2021.7月第39回日本受精着床学会において空の森クリニックからPFC-FD療法の有用性についての発表があり、子宮動脈血流の改善と内膜増殖作用があることが報告されました。

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